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金融取引の代理等に関する考え方-全銀協指針

 全国銀行協会は2月18日、高齢者(特に認知判断能力が低下した方)や代理の方と金融取引を行う際や、社会福祉関係機関等と連携する際の参考となるよう、指針を定めた。

 <参考>全国銀行協会ホームページ

 

 指針においては、5つの状況に応じた対応の考え方をまとめた。

 1 本人に認知判断能力がある場合

   →通常取引

 2 認知判断能力が低下した本人との取引

   →本人の財産保護の観点から、成年後見制度の利用を促すのが一般的。

   →成年後見制度の手続が完了するまでの間など、やむを得ず本人と金融取引を行う場合は、本人のための費用の支払いであることを確認するなどして対応。

 3 法定代理人(成年後見人など)との取引

   →法定代理人であることを確認のうえ、法定代理人と取引。

 4 任意代理人(親族など)との取引

   →本人から親族等へ有効な代理権付与が行われ、銀行が親族等に代理権を付与する任意代理人の届出を受けている場合は、任意代理人と取引。

 5 無権代理人との取引

   →親族等による無権代理取引は、本人の認知判断能力が低下した場合かつ成年後見制度を利用していない(できない)場合において行う、極めて限定的な対応。

   →成年後見制度の利用を求めるのが基本。

   →認知判断能力を喪失する以前であれば本人が支払っていたであろう本人の医療費等の支払手続を親族等が代わりにする行為など、本人の利益に適合することが明らかである場合に限り、依頼に応じることが考えられる。

   →金融商品の解約については、より慎重な対応が求められる。

 

 また、指針においては、社会福祉関係機関との連携強化が謳われた。

 社会福祉関係機関としては、以下の機関が代表例として挙げられた。

  ・地域包括支援センター(地域の高齢者等の保険医療・介護等に関する総合相談窓口)

  ・社会福祉協議会(判断能力に不安のある方を対象に日常的な金銭管理を行う「日常生活自立支援事業」の実施主体)

  ・中核機関(権利擁護支援の地域連携ネットワークの中核的役割を果たす)

 そして、消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)や地域ケア会議といった、地域の関係機関や関係者が集まる協議体等へ参加し、日常的に関係を強化するよう求めた。

 

 こうした指針に沿った形で、三菱UFJファイナンシャル・グループは3月8日、本人が認知・判断能力の低下に備えて将来の金融取引における代理人を指定できる「予約型代理人」サービスを導入すると発表した。

 <参考>三菱UFJファイナンシャル・グループ ニュースリリース

 

 

 弁護士としては、本人及び家族の意向を十分に聴き取り、本人の権利擁護のためにどの手段が最も望ましいかを検討することに尽きると考える。今回の銀行協会の指針も、本人及び家族が取り得る手段を整理して提示した点で、意義があると思う。