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建設アスベスト 国が和解案検討

 建設現場でアスベスト(石綿)を吸い、肺がんや中脾腫などの病気になった元労働者と遺族が、国と建材メーカーに損害賠償を求めた4件の集団訴訟の上告審判決で、最高裁は17日、国とメーカーの責任を認めた。

 この建設アスベスト訴訟をめぐり、与党のプロジェクトチームは17日、以下のような和解案を決定した。

 

 ・国が原告らの病態に応じ、1人当たり550万~1300万円の和解金を支払う(提訴原告には訴訟負担を考慮し、和解金のほか解決金も支払う)

 ・未提訴の被害者にも和解金と同水準の給付金を支給。議員立法により制度創設を目指す。支給方法は、被害者から請求を受けて審査する「行政認定」方式を想定する(←裁判は不要)。

 ・建材メーカー責任については引き続き検討。

(以上につき、5月18日朝刊各紙報道)

 

 私が所属する岡山アスベスト訴訟弁護団では、現在、石綿工場元労働者についての国の和解制度に基づく事件を担当しているが、この和解制度では国に対する訴訟を起こさなければいけないため、提訴数が伸びておらず、被害救済は進んでいない。

 こうしたなか、建設アスベスト被害については、裁判を不要とする給付金制度を創設する動きが出ていることは、率直に評価したい。

 今後は、早期に給付金制度を創設するとともに、対象となりうる元労働者(左官、大工、電気工、配管工、吹付工など)・遺族への個別周知、相談窓口の充実、給付金申請サポート等、被害救済のための枠組みを充実させてほしい。

 私自身としても、被害救済のためにできる限りのことをしたいと思う。